
『人生は要約できない』だから『日々の暮らしが大切』

愛媛県の宇和島出身。現在は横浜市で会社勤務。NHK連続ドラマ『エール』裕一(窪田正孝)音(二階堂ふみ)の主人公とその他ドラマ登場人物をモデル、古関裕而と妻金子の史実と時代背景を比較しながら、このブログでもっとドラマが楽しく見られたらいいなと思っています。
『暮らしの手帖社』は雑誌広告を排除したが、一方、宣伝広告の手法を最大限活用している。
なにせ花森安治は名代の宣伝広告のプロだった。
花森安治は宣伝のあらゆる手法を使って『暮らしの手帖』の宣伝をした。
彼が戦前勤務していたのは大政翼賛会の宣伝部である。
戦争中、花森安治は大政翼賛会で「ぜいたくは敵だ!」という「七・七禁止令」にもとづき全国民に対し「ぜいたく」をやめる宣伝を推進した。
その結果、東京では各婦人団体が自発的に街頭に乗り出して、各盛り場で敵性人の発見に努めた。
敵性を持った人々には、『華美な服装は慎みましょう。指輪はこの際全廃しましょう』と書いたカードを送った。
イエローカードである。
『どうもすみません。今後改めます』『ついうっかり致しまして』と顔を赤らめる人、『早速改めます。厚かましいですが、私も運動に加わらせてください』とたちまち敵性を捨てた人もいたそうです。
『とと姉ちゃん』NHK連続ドラマにも婦人団体や隣組が常子の家まで訪ねてきたのはご存知の通りです。
花森安治は宣伝広告を最大限活用すると周りがどうなるのかを誰よりも熟知していた。
日本人の人々になにを訴えかければ人々の心に一番良く響くのかをわかり過ぎるほどわかっていたのである?
『暮らしの手帖』が販売不振のおり、日本人の心に響く皇室の記事を掲載した。
しかも、電車の中吊り広告を出したのである。
雑誌は爆発的に売れ、「暮しの手帖」は息を吹きかえした。
花森安治のやり方はあざといと言えば実にあざとかったのだ。
やりくりの記 東久邇 成子 『暮らしの手帖』皇室のエッセイで大ヒット。
http://keijidaz.blog.jp/archives/63582140.html
NHK連続ドラマ『とと姉ちゃん』では『暮らしの手帖』のこの記事は一切ドラマのシーンには出てこなかった。
NHKは民間企業が皇室を利用したと批判を浴びるのがいやだったのだろう。
また、花森安治は『暮らしの手帖』の商品テストも宣伝広告に昔からあるアメリカでの比較宣伝と言う危険な宣伝方法を形を変えて取り入れた。
彼はアメリカの宣伝広告も熟知していた。
日米の広告の最大の違いは、「比較広告」に対する考え方である。
比較広告とは、ライバル企業やライバル商品と自社の商品を比較して優位性をアピールするという広告手法である。
たとえば以前、「自社のコーラと他社のコーラを目隠しで一般消費者に試飲してもらったところ、多くの人が自社のコーラを選んだ」というようなCMが日本でも放送されたことがあります。
このたような比較広告は、日本でも「内容が客観的に正確かつ適正に実証された事実であれば問題ない」とされている。
しかし他社や他の商品を誹謗中傷するような攻撃的な内容は消費者にも好ましくない印象を与えるため、あまり過激な表現は自粛されています。
また「不当景品類及び不当表示防止法」によれば、他社の商品よりも優良・有利であると消費者に誤認させるような比較広告は禁止となってる。
ところがアメリカでは、競争相手をイメージダウンさせるための攻撃が広告に認められている。
日本のテレビやマスメディアの宣伝では比較宣伝はタブーである。
それは相手の名前を出しての比較宣伝は双方の争いごとに繋がるし、トラブルにもなるからである。
しかし、花森安治はこのことも良く知っていて、あえて『暮らしの手帖』で商品テストメーカーの名前入りで掲載した。
花森安治は「内容が客観的に正確かつ適正に実証された事実であれば問題ない」ことを良く理解していた。
だから『暮らしの手帖』の商品テストはより客観的により適正に実験を繰り返した。
誰でもが、そこまでやらなくても良いだろうと思われるほど徹底的にやった。
『とと姉ちゃん』NHK連続ドラマでもトースターの商品試験を雑誌で掲載するとメーカーの社長が会社に怒鳴り込んで来たシーンがあった。
花森安治の想定内のできごとなのだ。
花森安治はそんじょそこらの雑誌の編集長ではなかった。
なにをすればどうなるのか、まるであたかも未来が予測できたかのようである。
最近、ネットでは価格ドットコムだとか商品ランキングとかが良く利用される。
比較サイトと呼ばれているものである。
私も商品の購入にこのシステムをよく利用する。
なにが良くて悪いかが誰にでも即座にわかり非常に便利である。
『暮らしの手帖』はまさにこの比較サイトの原点なのである。